健康コラム
Healthcare Column.

シニアのための自律神経基礎知識

自律神経のバランスが崩れると、体のだるさや不眠、めまい、頭痛などの症状が現れます。これらの症状が高齢になっても治まらない場合、自律神経の老化を考えるべきかもしれません。

「なんとなく不調」の原因を疑ってみよう

皆さんは年齢を重ねるとともに、体が気温や環境の変化にうまく対応できず、疲れやすさを感じることはありませんか?それは自律神経の老化のサインでもあります。
まず疲労感に直結する自律神経は年齢とともにその働きが弱くなり、その結果、外の刺激に対して素早く反応できなくなります。

また、加齢によるホルモンバランスの乱れは神経自体の回復力を低下させ、特に副交感神経を弱め、その結果、心身を興奮状態へ導く交感神経が優位になります。
そして日常的な疲労、不眠、体温調節の乱れを引き起こしてしまうのです。

キレる・うつなど、老後に起こる心のトラブル解決

交感神経が興奮することは、身体に活力を与えるためであり、決して悪いことではありません。
しかし、老化によって身体の各機能、特に循環器系が衰えていると、脳に十分な酸素や栄養が行き渡らず、それに伴い感情のコントロールが難しくなることがあります。思わず大声を出したり、感情的になる「キレる老人」問題は、そういった自律神経の老化によって起こっているとも言えるでしょう。

また、自律神経の老化はストレスへの対処能力を低下させ、日々の不安感を増大させます。特に、体調や経済的な不安、孤独感が強まると、心身の回復力が弱まり、その悪循環によって最悪、心の病である「老人性うつ」を引き起こしてしまう場合もあります。

現代の食生活が自律神経に与えるリスク

シニア世代が自律神経の悪循環を改善するには、まず食生活のチェックが重要です。
現代の日本の食事は、加工食品や糖質中心になりがちで、これまで伝統的な日本食で自然に補えていた「セロトニン」の材料となるトリプトファンが不足しやすくなっています。

セロトニンは副交感神経をサポートする働きがあり、栄養だけでなく、自律神経を意識的に整える栄養を摂取することが、シニア世代の心身の安定を保つために不可です。

まずは食生活の見直しを

セロトニンは、気分を安定させ、ストレスを軽減する役割があり、副交感神経の働きを助けます。セロトニンの材料となるトリプトファンは、カツオ・マグロ・牛乳・チーズ・豆腐・納豆・ナッツ等に多く含まれています。

また、ビタミンB6やマグネシウムもセロトニンの体内生成を助ける栄養素として重要です。年齢を重ねると消化吸収機能が低下しやすいため、これらの食品を組み合わせて意識的に摂取することが大切です。青魚、ナッツ、バナナは、トリプトファンに加えてそれらの栄養が多く含まれています。普段の食事にこれらの素材を加えることで自律神経のバランスが整いやすい食事になります。

生活習慣の改善もおすすめ

(1)日に当たりながらの軽い運動
シニア世代にとって、ウォーキングなどの軽い運動は、自律神経を整えるのに効果的です。特に日光を浴びながらの散歩は、網膜を通して脳が刺激され、セロトニンの分泌が促進されます。また、ガーデニングなども、体を動かしながら自然と触れ合えるため、リラックス効果が高くおすすめです。

(2)リラックス手段を定期的に
深呼吸、ストレッチ、読書・音楽鑑賞、温かいお風呂など様々なリラックス法は、定期的に行うことで副交感神経の活性化につながります。深呼吸やストレッチは心身の緊張をほぐしますが、一度だけでは効果は薄くなりがちです。 特に夜に行うリラックス習慣は、睡眠の質が向上し、自律神経のバランス調整に大いに役立ちます。

(3)社会的なつながりも大切に
年配の方のストレスの大きな要因は孤独感だと言われています。心身のバランスを保つための社会的なつながりは、実は重要です。地域活動や趣味のサークルに参加することで孤立感が減ります。 また、友人や家族との交流も、自律神経を整えるために欠かせない大切な要素です。

※当記事は弊社発行誌『イキイキ生活通信』に掲載された内容を改編・再載しております。

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